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相続に関する各種お手続き
(相続税・相続財産の名義変更・遺産分割協議[調停・審判も含む]・相続人調査・相続放棄等)や遺言書作成(公正証書遺言・自筆証書遺言)は専門の弊所へお任せください。
【目次】------------------------------------------------------------------------------------------------
ご覧になりたい項目をクリックしていただきますと、ジャンプします。
1. 法定相続人とは?
2. 相続できない場合
3. 相続放棄や相続開始後3ヶ月以内について
4. 法定相続分
5. 相続人の調査(相続関係説明図)
6. 相続財産の調査(遺産目録)
7. 遺産分割協議
8. 相続財産の名義変更
9. 相続と税金
10.まとめ ~相続の流れをチェック~
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相続手続きの流れ・概要について
1.相続人となる者は?
相続人とは法律上相続をする権利を取得する人を指します。
したがって誰が相続人であるかは、法律による事となります。
以前は、家督相続という長男が優先して相続する制度が存在しましたが、現在はそのような制度はございません。
それでは、以下の具体例を基にご確認ください。
ポイント1.配偶者は常に相続人となります。
配偶者以外の相続人は、子供や祖父母、兄弟姉妹です。
ポイント2.これらの者は、法律上定められた順位によって相続しますので、同時に相続人となることは原則としてありません。
その順位は、
①子
②直系尊属(祖父母)
③兄弟姉妹 です。
つまり、配偶者がいる場合には、
配偶者+上記①~③のいずれかの者が相続人となり、配偶者がいなければ、上記①~③いずれかの者が相続人となります。※原則全部で7つの組み合わせができます。
注意Ⅰ
配偶者は被相続人が亡くなった時点において法律婚でなければなりません。たとえ別居中でも相続人になり得ます。しかし事実婚(内縁関係)では法定相続人にはなれません。但し、特別縁故者に該当する場合には相続することが可能となります。
注意Ⅱ
子供は実子でも養子でも相続が可能です。さらに、特別養子縁組でなければ、養親と実親の両方を相続できます。また、胎児であっても相続権は認められます。但し、当然ですが生きて産まれてこなければなりません。
連れ子についてはそれぞれ、妻の連れ子は妻のみを、夫の連れ子は夫のみを相続します。但し、養子縁組をしておけばこのような問題を避ける事が可能です。
もう一つ問題になるのが、嫡出子か非嫡出子かです。
ご参考までに、嫡出子とは婚姻関係にある夫婦間に生まれた子をいいます。非嫡出子は婚姻外の男女間に生まれた子をいいます。
仮に離婚していたとしても、婚姻中に生まれていれば嫡出子となります。
嫡出子・非嫡出子共に相続権はありますが、法定相続分に異なる点があり、非嫡出子は嫡出子の2分の1の割合で相続をすることとなります。
ご不明な点は、いつでもお気軽に弊所宛ご相談ください。
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2.相続できない場合があります
遺言書の内容を書き換えたり、強迫をして遺言書を作成させたり、あるいは、相続人となるものを故意に殺害したりすると、相続欠格に該当することとなりその者は相続できません。
また、被相続人に対し嫌がらせをしたり虐待があったような場合には、被相続人が家庭裁判所に申し立てる事によってその者が相続することができないようにすることが可能です。これを(相続)廃除といいます。
(相続)廃除は、廃除された者が、家庭裁判所に申し立てる(審判)ことにより取り消しが可能ですが、欠格は欠格事由に該当した段階で当然に効力が発生致しますので取り消すことはできません。
但し、上記いずれかに該当し相続する権利を失ったとしても、その者に子があればその子は相続することが可能です。
これを、代襲相続といいます。
但し、次の3.相続放棄を行った場合には、代襲(相続)はできません。
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3.相続したくない~相続放棄~
相続と聞くと、相続財産(遺産)を取得できる=財産が増えるというイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるかと思われますが、相続財産には、不動産や預貯金、有価証券等のプラスの財産ばかりではなく、マイナスの財産いわゆる負債(借金)も含まれます。
また、相続人の間で、不動産等の財産を分散させないために譲り合いたいといったご相談もお受け致します。
例えば、長男が農家継いでいる場合や、実家で次男が生前より両親の世話をしてきている場合などです。
このような場合には、相続放棄を行うことにより、相続の開始時から相続人でなかったものとして取り扱われますので、借金を背負う必要もなくなりますし、農家としてやっている長男のみ(※長男以外の相続人全員が放棄した場合)で、田畑の名義変更等の手続きを取ることができます。
但し、この相続放棄は、相続開始前にあらかじめ放棄しておくという事は出来ません。
相続開始後3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立てを行うことで可能となります。
相続放棄のお手続きについての疑問やご質問は、専門の弊所までお気軽にご相談ください。
さらに、この相続放棄に関連するものとして、単純承認及び限定承認という制度がございます。
単純承認とは、相続財産の一切(借金もすべて)を相続するというものです。放棄や限定承認は相続開始後3ヶ月以内にしなければなりませんが、事実上この単純承認には期間の要件はございません。
3ヶ月間何の手続きも取らなかった場合や、相続財産を処分してしまった場合などは、常に単純承認したものとみなされますので注意が必要です。
これに対して限定承認とは、相続財産のうちプラスの財産を超えない範囲内でマイナスの財産も相続するというものです。この制度は相続放棄と同じ期間内に家庭裁判所への申立てが必要ですが、相続人が複数存在する場合には、全員でしなければなりません。単独で可能な相続放棄とはこの点で異なります。
相続があった場合には、その相続が開始した後3ヶ月以内(熟慮期間といいます)に、上記3つの内から選択しなければならないという事になります。
※当該熟慮期間内に裁判所への申し立てを行うことにより6ヶ月や1年間いわゆる延長することも場合によっては可能です。お困りの際には、お気軽にご相談ください。
3ヶ月間の間に、相続人の確定作業(相続人調査)及び相続財産の調査を完了させる必要がございます。
また、それ以外にも、年金を受給されていらっしゃれば未支給年金の請求や、金融機関への連絡、クレジットカードや電話回線等各種契約関係の整理など、多くのお手続きをお取り頂く必要がございます(専門的なお手続きも含めて約90種類程度あるといわれています)。
これらすべてのお手続きにつきまして、弊所では、日々専門的に業務を行っておりますので、
『何から手を付ければいいのだろう?』
『専門的な手続きなのでやり方が分からない?』
『忙しくて時間がないから全てやってほしい。』 など様々なニーズにお応えすることが可能です。
ご安心の上、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。親身になって対応させていただいております。
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4.相続分の割合(法定相続分)は?
その割合は、以下の通りです。
また、遺産分割協議や遺言によりこれとは異なる分割も可能です。
※但し、遺留分を侵害することはできません。
1)配偶者と子(1/2ずつ)
配偶者は1人ですが、子は複数の場合もございます。
その場合は、子全体の相続分(全体の1/2)をまず確定しそれからさらに子の人数に応じて分割します。
2)配偶者と直系尊属(2/3と1/3)
直系尊属も最大で2人ですので、その場合は子と同じように計算します。
3)配偶者と兄弟姉妹(3/4と1/4)
この場合も兄弟姉妹が複数存在する場合が考えられますが、上記と同様に計算します。
4)重複が無い場合(子だけや祖父母だけ等)には、単に全相続分を人数で按分するだけです。
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5.相続人の確定作業(相続人調査)
相続人が誰であるかは概ね見当は付きますが、本当にそれで全ての相続人を漏れなく把握できるのでしょうか?
また、各種お手続きをお取り頂く際にはそれを証明する必要がございますが、どのようにすれば良いのでしょう?
相続人調査とは、公的な書類をもって相続人を確定させることをいいます・
それには、まず戸籍謄本等の取得が必要です。
具体的には、被相続人の戸籍謄本等を、原則として出生から死亡まで途切れることなく取得していく必要がございます。ケースによっては100枚以上の取得が必要となる場合もあり、また、ひとつの役場で済まないことがほとんどのため膨大な時間を要することも珍しくありません。
さらに、出生から死亡までの分が本当に取得できたのか?戸籍謄本等を読み解く知識や、窓口となる役所が遠方の場合はどうすれば良いのか?など、初めての方にとっては難しく感じられることも少なくありません。
万が一、相続人に漏れがあり各種手続きを行った後に判明したような場合には、すべてのお手続きをやり直す必要が乗じることもございますので、
ご不安に思われる方は専門家にご依頼いただくことをお勧め致しております。
また、ご自身でされる場合にも、最終段階(各種お手続き前)で、ご取得頂きました戸籍謄本等を専門家にチェックしていただくことをお勧め致しております。
もちろん、弊所でも承っておりますので、ご不明な点はいつでもお気軽にご相談ください。
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6.遺産(財産)目録を作成する~相続財産の調査~
相続人が決まれば次は相続財産を明確にしていかなければなりません。
まずは被相続人の遺産をチェックします。
銀行の預貯金や自動車、さらには債権証書、有価証券、株券(平成21年1月より電子化)もあるでしょう。不動産や骨董品なども含まれます。ありとあらゆる物をリストアップしてみて下さい。
また、請求書や支払いについての催告・督促状などもチェックする必要があります。
相続財産の調査が一通り完了すれば、プラスとなっているのかマイナスとなっているのかについて確認をします。
一般的には、プラスとなっていれば問題はないかと思われますが、マイナスの場合には、限定承認や相続放棄のお手続きが必要となることも考えられます。
相続財産の調査(一部)について、ポイントとなる点を以下記載しておりますので、ご参考としていただければ幸いです。
預貯金は記帳をしに銀行へ出向く。記帳されていない場合も想定し対策を講じておくというものです。
不動産は全部事項証明書を取得し各種権利関係を調べる。所有権以外の権利も相続の対象となりますので確認が必要です。付着している権利の意味がイマイチよく分からない場合等は、お気軽に弊所宛お問い合わせ下さい。
株券は上場している場合は最低価格をチェックしておく。非上場であれば相続人の間での協議か場合によっては公認会計士に調査依頼が必要です。
生命保険は受取人が誰なのかを確認する。被相続人の場合には相続財産となりますので注意が必要です。受取人が相続人であれば相続財産とはなりませんが、相続税の課税標準には含まれます。
相続財産の調査についてのご相談は、いつでもお気軽に弊所宛ご連絡ください。
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7.遺産分割協議
いよいよ、実際に相続財産を分割する段階に入っていきます。
遺産分割は遺言で禁止されている場合を除き、相続開始後であればいつでも可能です。さらにいつまでにといった期限もございません。
但し、相続税を納付する必要がある場合には、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に協議を終了するのが望ましいとされております。(相続税の申告期限が相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内のため)
詳細は、【遺産分割協議について】のページで解説させていただいております。
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8.相続財産の名義変更
遺産分割協議も終了すれば、残すは名義変更手続きになります。以下主要なものについて解説致します。
1)預貯金(詳しくは各金融機関にお問い合わせ下さい)
口座のある支店まで出向いて下さい。
(必要なもの)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
・口座の通帳・銀行印
・相続人の戸籍謄本1通
・遺産分割協議を開催した場合はその協議書
2)不動産(ケースによって異なります)
その不動産の所在地を管轄する法務局にて行います。
(必要なもの)
・登録免許税 評価格の4/1000
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
・相続人全員の戸籍謄本各1通
・不動産を相続する相続人の住民票1通
・登記申請書
・遺産分割協議を開催した場合はその協議書
・固定資産評価証明書1通
・印鑑証明書
3)自動車
最寄りの陸運局で行います。
(必要なもの)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
・遺産分割協議を開催した場合はその協議書
上記は、一般に最低限必要とされる書類等です。
実際のお手続きでは、個々案件により異なります。
また、内容によっては複雑なお手続きとなりますので、名義変更のお手続きに関しては専門家へご相談ください。
弊所でも、随時ご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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9.相続をすると税金は?
相続すると税金がかかります。
但し、基礎控除として、相続財産の総額が、
5000万円(3000万円)+[1000万円(600万円)×相続人の数] までであれば非課税となります。
※()内の数字は法改正後のものです。
また、相続時精算課税や贈与税の特例、マイホームに関する特例、配偶者への優遇措置等、上手く利用すれば、税金の額そのものや支払い時期・方法について有利になるケースもございます。
上記基礎控除以上になるかもしれないという方は、
ぜひ、相続開始前から、税金のシュミレーションをされることをお勧め致します。
ご不明な点は、いつでもお気軽にご相談ください。
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10.まとめ~相続手続きの流れ~
1.相続の開始
相続の開始とともに関連手続の除斥期間も進行致します。
まずは死亡届を市区町村役場へ、7日以内に提出する事となります。
2.遺言書の存在を確認する
遺言書があるかどうかを確認します。
1)公正証書遺言がある
この場合には、検認手続(家庭裁判所でする遺言の法的用件等についての確認作業)が不要ですので、その内容を相
続人全員で確認する準備へ取り掛かりましょう。
2)自筆証書遺言(秘密証書遺言も含む)がある
この場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要ですので決して封を開ける事なく家庭裁判所へその遺言書を持参し
て下さい。
3)遺言書は見つからなかった
この場合には、次のステップへお進み下さい。
3.相続人は何人いるのか確認する(相続人調査)
戸籍謄本等を使って相続人を調べます。これが相続人調査です。
調査に使用した戸籍謄本等は、相続財産の名義変更時に必要となりますので、お手元にご保管ください。
また、調査の結果に基づき、相続関係説明図を作成する必要もお手続きによっては生じますので、可能であればあらかじめ作成しておくことが望ましいと考えられます。
その後相続人全員に対して、相続が開始された事を通知しましょう。
※後々のトラブル防止のため、疎遠となっている親族が含まれる場合等は、配達記録を付けてケースによっては内容証
明郵便で通知しましょう。
『遺言書には、私だけの名前しか記載されていないから。』といった場合でも同様に行います。
相続における期間の起算日や、時効の進行開始日は、原則『相続の開始を知った時から』進行致します。まずは全員に知らせておかなければなりません。
4.遺産(財産)目録の調製を行います
相続人で協力し相続財産についての調査を行います。
そして、被相続人の遺産をリストアップして下さい。
ここでは、不動産や預貯金、骨董品などプラスの財産はもちろんですが、借財やその他マイナスの財産も全て含んだありとあらゆる相続財産について調査を行います。
この調査を基に次のステップでの判断を行うこととなります。
5.相続に関してご自身の意思を表示しましょう
各相続人は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内にある意思表示をしなければなりません。
遺言書において、相続人に指定されている場合であっても、もちろんこの意思表示は可能です。
1)単純承認
すべての相続財産を相続するという意思表示です。
なお、ここに言う相続財産とは、プラスになるものはもちろん、借金等のマイナスになるものも含みます。
2)限定承認
借金がプラスになる遺産より多く存在するかもしれない場合に有効な意思表示です。
プラスの遺産を超えない範囲内でのみ借金等のマイナスの遺産も相続するといった内容のものです。
つまり、経済的に言及して最悪のケースでも相続後のプラスマイナスがゼロという事になります。
3)相続放棄
相続財産が明らかにマイナスになる場合や、今回の相続からは身を引きたいなどの理由がある場合には、有効な意思
表示です。
相続放棄をした者を除き、次の遺産分割協議へ臨みます。
6.遺産分割協議の開催
前掲1.~5.までが終われば、いよいよ遺産をどう分けるのかという協議に入ります。
なお、遺言書が存在していた場合には、その通りの内容を実現するのであればこの協議は不要です。
また遺言書内に遺産分割の禁止の旨の記載がある場合には、原則として5年までのその記載されている期間内は、遺産分割協議を開催する事はできません。
遺産目録に基づき、ひとつずつ全員が納得するように協議を進めます。
その際、協議の結果を証する書面【遺産分割協議書】を作成します。
※法律上は必ずしも必要とされていませんが、後々のトラブル防止や、相続財産の名義変更の際に必要となりますので、作成はしておいた方がよろしいかと思われます。
作成の方法やサンプルについては、専門の弊所までお問い合わせいただければ、関連する手続きのサポートも含めて迅速に対応させていただきます。
7.各種名義変更手続き
遺産分割協議により、各相続人の相続分が決まれば、相続財産の名義変更のお手続きが必要です。
不動産であれば法務局での相続登記、預貯金であれば各金融機関でのお手続き、自動車は陸運支局でのお手続きが必要です。
各種お手続きは、個々案件により異なりますが、一般的に専門的な知識が必要となります。
また、各機関の窓口が平日しか開いていないこともあり、時間的な制約が問題となるケースもあります。
ご質問やご不明な点は、いつでもお気軽に弊所宛ご相談いただければ幸いです。
8.税金の納付手続き
相続税は、その開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
事業をされていらっしゃった場合には、所得税の申告(準確定申告)が必要です。
これは、相続開始から4ヶ月以内にお手続きをお取り頂く必要がございます。
相続税については、様々な特例等が存在し複雑ですので、専門的な税務の知識が必要となります。
上手く制度を利用することにより、減税や優遇措置を受けることができますが、知らないと思わぬ落とし穴にはまってしまうことも想定されます。
このため、相続が開始する前にシュミレーションを行うことが大切です。
弊所でも、随時ご相談をお受け致しておりますので、お困りの際はお気軽にご相談頂ければ幸いです。